仁義なき戦い 広島死闘篇で
ヤクザ映画史上伝説として語り継がれる
この稀代のイカレキャラが登場する
「村岡が持っちょるこつは何を売っちょるの?
淫売じゃないの,言うならアレら~
オ○コの汁で飯食うとるんど!!」
放送禁止用語をブチ回すヤバイ男・・
大友勝利(千葉真一)である
出演時の思い出を語るを語られています。
実は最初、北大路欣也ちゃんが演じた山中正治が僕の役だったんです。
脚本の笠原和夫さんは、その前に『日本暗殺秘録』(1969年)で
僕が演じた小沼正のヤクザ版として山中を描いた。
だから僕も山中のセリフは完全に入っていた。
それを欣也ちゃんが「大友はできない」と言ったから
クランクイン直前で役が入れ替わった。実は彼とは役柄交代は2回目。
そりゃあ、向こうは市川右太衛門さんの御曹司で、こっちは雑草。
それでも2回目となると「勝手にしやがれ!」と思ったけど
ふと考えたらあの深作欣二が違うと思ったら絶対に曲げるわけがない。
ははぁん、これは監督の陰謀か……そうか、それならやってやろう。
そう思って改めてシナリオを読んでみたら「何じゃこれ!」なわけです。
山中とは180度違う役柄で、欣也ちゃんが役者として降りたのもわかる
エゲツないセリフばかりだけど、読んでいくと段々と
「これ、おもしろいな」と役柄が自分の中に入っていく。
深作監督も、山中よりも大友に気持ちが入っていることもわかった
ただ千葉真一として、どうやって演じたらいいのか?
1週間、考えに考え抜いて「これだ!」とひらめき、またアタマから
シナリオを読み直して、その段階で90%はできあがっていたかもしれません。
一言で言えば「千葉真一」を捨てること。
何なら芸名ごと「大友勝利」に変えてもいいと思ったくらい。
あの頃の僕は、テレビドラマの『キイハンター』などで
アイドル俳優と呼ばれていたけど、それを全部、捨てようと。
大友になるために、特徴的な目をサングラスで隠し、
ファンキーハットに赤いリボンを巻いて。
登場シーンでは唇を引っくり返して割り箸をくわえているんです
あとは何か……そうだ、木刀を持たせよう、と
深作監督と話しながら、暴力的なキャラクターを作り上げていきました。
〈あんた等も飯食えんような体になってもらいますけん!〉
そんなセリフが、そこいらを木刀で叩き壊すことによって一段と映えてくる
監督に「僕の広島弁は大丈夫か?」と聞くと、水戸訛りの監督は
「アクセントなんかどうだっていいんだ、雰囲気さえ出ていれば」
と答えましたね。役者人生でこんなに悩んだ役もなかったけど、
それだけ「大友勝利」には愛着も深いですね。